
運用型求人広告は、採用目標や予算に応じて広告の配信内容を柔軟に調整できる採用手法です。
従来の掲載型広告とは異なり、データに基づいた客観的な分析と改善を繰り返せるため、効率的な採用活動が期待できます。
この記事では、運用型求人広告の基本的な仕組みからメリット、注意点、さらには効果を最大化するためのポイントまで、網羅的に解説します。
目次
そもそも運用型求人広告とは?従来の広告との違いを解説
運用型求人広告とは、求職者の検索行動や属性に合わせて広告の表示を最適化し、クリック数や応募数といった成果に応じて費用が発生する広告手法です。
従来の掲載型求人広告が、定められた期間と枠に固定の料金で掲載するのに対し、運用型は予算や配信ターゲット、掲載内容をいつでも変更できる柔軟性が特徴です。
これにより、採用市場の動向や応募状況に応じて、リアルタイムな改善活動を行えます。
運用型求人広告の仕組みを2つのポイントで解説
運用型求人広告は、いつ費用が発生し、どのように広告の掲載順位が決まるのか、その仕組みの理解が重要です。
主な課金形式にはクリック課金や応募課金などがあり、採用のフェーズに応じて選択できます。
また、掲載順位は広告の入札単価だけでなく、求人内容の質も影響するオークション形式で決定されるため、費用と内容の両面からの最適化が求められます。
費用が発生するタイミング:主な課金形式
運用型求人広告の代表的な課金形式は、広告がクリックされるたびに費用が発生する「クリック課金(CPC)」です。
多くの求人検索エンジンで採用されており、求人に関心を持ったユーザーのアクセス数に応じてコストが変動します。
その他、求人が表示される回数に応じて費用がかかる「インプレッション課金(CPM)」や、実際に応募があって初めて費用が発生する「応募課金(CPA)」、採用成功時に費用を支払う「成功報酬課金」など、媒体やサービスによって多様な形式が存在します。
これらの課金形式を理解し、自社の採用目標に合わせて選択することが重要です。
運用型求人広告の掲載順位が決まるロジック
運用型求人広告の掲載順位は、主に「オークション」形式で決まります。
これは、広告主が設定した入札単価と、広告の「品質」を総合的に評価して決定される仕組みです。
品質とは、求人情報と求職者の検索キーワードとの関連性や、広告のクリック率などが含まれます。
したがって、単に高い入札単価を設定するだけでなく、求職者のニーズに合致した魅力的な求人情報を提供し、広告の品質を高めることが、より有利なポジションに広告を表示させるための鍵となります。
このロジックにより、広告主間の健全な競争が促されます。
運用型求人広告を活用する3つのメリット
運用型求人広告の活用は、企業に多くのメリットをもたらします。
最大の強みは、求職者の検索キーワードや属性に応じて広告を配信できるため、自社が求める人材へピンポイントに情報を届けられる点です。
また、市況や応募状況の変化に応じて広告内容の修正や配信停止を迅速に行える柔軟性も魅力の一つ。
さらに、全ての活動がデータとして可視化されるため、客観的な分析に基づいた採用コストの最適化が可能です。
届けたい求職者にピンポイントでアプローチできる
運用型求人広告は、精度の高いターゲティングが可能です。
求職者が検索するであろう職種名やスキル、勤務地といったキーワードを指定して広告を配信できるため、採用要件に合致する可能性の高い人材に直接アプローチできます。
また、年齢や性別、地域といったデモグラフィック情報や、特定のウェブサイトの閲覧履歴など、行動データに基づいたターゲティングも行えます。
これにより、不特定多数に情報を発信する従来の広告手法と比較して、採用候補となりうる層へ効率的に求人情報を届けることができ、ミスマッチの削減にもつながります。
広告の修正や停止をリアルタイムで行える
従来の掲載型求人広告では、一度掲載を開始すると期間中の内容変更が難しいケースが一般的でした。
しかし、運用型求人広告は、管理画面からいつでも求人原稿の文言修正や予算の変更、広告配信の停止・再開が可能です。
例えば、応募が想定より多く集まった職種は一時的に配信を停止し、逆に苦戦している職種に予算を集中させるといった柔軟な対応ができます。
この機動性の高さにより、採用計画の変更や急な欠員補充など、企業の採用状況の変化に対して迅速かつ的確に対応することが可能になります。
データに基づいた改善で採用コストを最適化できる
運用型求人広告は、広告の表示回数、クリック数、クリック率、応募数といったパフォーマンスに関する詳細なデータを取得できます。
これらのデータを分析することで、どの求人が求職者の関心を集めているのか、どのキーワードからの応募が多いのかを客観的に把握することが可能です。
効果の高い広告に予算を重点的に配分したり、逆に成果の出ていない広告の原因を分析して改善したりといった、データドリブンな意思決定が行えます。
このようなPDCAサイクルを回し続けることで、無駄な広告費を削減し、採用コスト全体の最適化を図ることができます。
導入前に知っておきたい運用型求人広告の注意点
運用型求人広告は多くのメリットがある一方、導入前に理解しておくべき注意点も存在します。
効果を最大化するためには、広告プラットフォームの仕様を理解し、データ分析に基づいた改善を行う専門的な知識が不可欠です。
また、広告のパフォーマンスを日々モニタリングし、継続的に改善策を実行していく必要があるため、相応の運用工数がかかることも念頭に置かなければなりません。
広告運用に専門的な知識やスキルが必要になる
運用型求人広告で成果を出すには、単に広告を出稿するだけでは不十分です。
ターゲット設定、キーワード選定、入札単価の調整、求人原稿の最適化、効果測定データの分析など、デジタルマーケティングに関する多岐にわたる専門知識やスキルが求められます。
これらの知識がないまま運用を始めると、予算を投じても期待した効果が得られず、費用対効果が悪化する可能性があります。
社内に知見を持つ人材がいない場合は、担当者の育成に時間をかけるか、専門の広告代理店に運用を委託することを検討する必要があります。
日々の効果測定や改善に工数がかかる
運用型求人広告は、一度設定すれば終わりというものではありません。
広告のパフォーマンスは市場環境や競合の動向によって常に変動するため、日々の効果測定が不可欠です。
表示回数やクリック率、応募単価などの指標を定期的にチェックし、課題を発見した場合は速やかに改善策を講じる必要があります。
具体的には、広告文の修正、ターゲット設定の見直し、予算配分の変更といった作業が継続的に発生します。
これらのPDCAサイクルを回すためには、担当者の一定の業務時間を確保する必要があり、他の業務と兼任する場合はリソース配分に注意が求められます。
【目的別】運用型求人広告の代表的な種類を紹介
運用型求人広告には様々な種類があり、それぞれ特徴や得意な領域が異なります。
代表的なものとして、世界最大級の求人検索エンジンであるIndeedや、国内で利用者を伸ばしている求人ボックスが挙げられます。
また、GoogleやYahoo!の検索結果に表示する採用リスティング広告や、Webサイトの広告枠に表示するディスプレイ広告も有効な手段です。
自社の採用ターゲットや目的に合わせて、最適な媒体を選択することが成功の鍵となります。
求人アドネットワークindeed(インディード)/Indeed PLUS(インディード プラス)
Indeedは、世界中の求人情報を集約した求人検索エンジンであり、運用型求人広告の代表的なプラットフォームです。
基本的にはクリック課金制で、求職者が広告をクリックして初めて費用が発生するため、コスト効率の高い運用が可能です。
無料でも求人を掲載できる点が大きな特徴です。
「IndeedPLUS」は、Indeedが提携する複数の求人サイト(リクナビNEXTやマイナビ転職など)に求人情報を一括で配信できるサービスです。
これにより、より多くの求職者へ効率的にアプローチすることが可能となり、採用活動の幅を大きく広げることができます。
求人検索エンジンの求人ボックス
求人ボックスは、「価格.com」や「食べログ」を運営する株式会社カカクコムが提供する求人検索エンジンです。
国内での利用者数が多く、幅広い業種・職種の求人情報が掲載されています。
課金形式はIndeedと同様にクリック課金制が主軸で、無料掲載にも対応しています。
シンプルな管理画面と分かりやすい操作性が特徴で、初めて運用型求人広告を利用する企業でも比較的導入しやすいサービスと言えます。
多様な検索軸を備えているため、求職者は自身の希望に合った求人を見つけやすく、企業側は求める人材層からのアクセスを集めやすい構造になっています。
採用リスティング/ディスプレイ広告/リターゲティング広告
採用リスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、求職者が「営業転職東京」といったキーワードで検索した際に、その検索結果に連動して表示されるテキスト広告です。
転職意欲が明確な顕在層に直接アプローチできるため、即効性が期待できます。
一方、ディスプレイ広告は、ニュースサイトやブログといったWebサイトの広告枠に画像や動画形式で表示される広告です。
まだ転職を具体的に考えていない潜在層に対して自社の魅力を伝え、認知度向上やブランディングに効果を発揮します。
リターゲティング広告は一度サイトに訪問したユーザーに対して広告を配信することができます。
この三つを組み合わせることで、幅広い層の求職者にアプローチできます。
応募課金、チケット課金型の運用型求人広告エンゲージ(engage)
エンゲージは、エン・ジャパン株式会社が運営する採用支援ツールです。
最大の特長は、無料で求人情報の掲載や採用ページの作成ができる点にあります。
さらに有料プランを利用することで、運用型広告の配信が可能です。
課金形式には、応募があって初めて費用が発生する「応募課金」や、事前に購入したチケットを消費して特定の求人を目立たせる「チケット課金」や「応募課金」など、他の求人検索エンジンとは異なる柔軟な選択肢が用意されています。有料掲載するとIndeedや求人ボックス、各種SNSに連携されます。
これにより、企業は自社の採用予算や目標に応じて、リスクを抑えながら効果的な広告運用を行うことができます。
また、採用サイトを無料で作成することができ、社員インタビューや各種SNS、動画のリンク設定も可能です。
運用型求人広告の始め方:2つの運用体制
運用型求人広告を始めるにあたり、まず検討すべきは運用体制です。
選択肢は大きく分けて二つあり、一つは社内に担当者を立てて自社で運用する方法、もう一つは運用を専門とする広告代理店に委託する方法です。
それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自社のリソース、予算、そして広告運用に関するノウハウの有無などを総合的に勘案し、最適な体制を選択することが重要です。
担当者を決めて自社で運用する
自社で運用型求人広告を運用する場合、最大のメリットは、運用ノウハウやデータが社内に蓄積されることです。
成功体験も失敗体験も自社の資産となり、長期的な採用力強化につながります。
また、代理店に支払う手数料が発生しないため、コストを抑制できる可能性があります。
さらに、社内の状況を最も理解している担当者が運用することで、迅速な意思決定と求人内容の細やかな調整が可能です。
一方で、運用には専門的な知識が必要であり、担当者の育成に時間とコストがかかる点がデメリットです。
効果測定や日々の改善業務に工数がかかるため、専任またはそれに近い体制を組む必要も出てきます。
専門の広告代理店に運用を委託する
専門の広告代理店に運用を委託する最大のメリットは、プロフェッショナルの知識と経験を活用できる点です。
代理店は多様な業界職種での運用実績を持っており、最新の市場動向や媒体の仕様変更にも精通しています。
これにより、自社で運用するよりも短期間で成果を出せる可能性が高まります。
また、広告運用にかかる工数を削減できるため、採用担当者は面接や内定者フォローといったコア業務に集中できます。
デメリットとしては、運用代行手数料という形で追加のコストが発生することや、運用ノウハウが社内に蓄積されにくい点が挙げられます。
代理店との円滑なコミュニケーションも成果を左右する重要な要素です。
運用型求人広告の効果を最大化させる3つのポイント
運用型求人広告の効果を最大限に引き出すためには、戦略的なアプローチが不可欠です。
まず、どのような人材を採用したいのか、採用ターゲットを具体的に設定することが全ての土台となります。
次に、そのターゲットの心に響くような、具体的で魅力的な求人原稿を作成します。
そして最後に、広告配信後はデータを定期的に分析し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回し続けることが、継続的な成果を生み出す鍵となります。
採用ターゲットを具体的に設定する
運用型求人広告を成功させるための第一歩は、採用したい人物像、いわゆる「ペルソナ」を明確にすることです。
年齢や性別、居住地といった基本的な属性だけでなく、どのような経験やスキルを持ち、どんな価値観や志向性を持っているのかまで具体的に描き出します。
ターゲットが明確になることで、その人物が検索しそうなキーワードを予測でき、広告のターゲティング精度が向上します。
また、求人原稿で訴求すべきメッセージや、自社のどの魅力を強調すべきかがはっきりするため、より効果的な広告クリエイティブの作成が可能になります。
この設定が曖昧なままでは、広告が本来届けたい層に届かず、無駄なコストが発生する原因となります。採用ターゲットや採用ペルソナの設定方法は以下記事で解説しています。
【テンプレート付】欲しい人材を確実に採る為の採用ペルソナ設定方法
求職者の心に響く求人原稿を作成する
採用ターゲットを設定したら、次はそのターゲットにとって魅力的だと感じられる求人原稿を作成します。
単に業務内容を羅列するのではなく、「どのようなスキルが身につくのか」「どのようなキャリアパスが描けるのか」「どんな社風で、どんな仲間と働けるのか」といった、求職者が入社後の自分を具体的にイメージできる情報を提供することが重要ですす。
また、職種名や仕事内容には、求職者が検索で使用する可能性の高いキーワードを自然に盛り込む工夫も求められます。
給与や待遇といった条件面だけでなく、企業のビジョンや仕事のやりがいといった定性的な魅力を伝えることで、他社との差別化を図り、応募の質を高めます。
定期的に効果を分析して改善を繰り返す
運用型求人広告は、配信して終わりではありません。
継続的に成果を出すためには、定期的な効果分析とそれに基づく改善活動が不可欠です。
管理画面から得られる表示回数、クリック率、応募単価などのデータを注視し、「どの求人のパフォーマンスが高いか」「どの時間帯や曜日にクリックが多いか」「効果の低い広告に共通する課題は何か」といった点を分析します。
その分析結果から仮説を立て、入札単価の調整、広告文の変更、ターゲティングの見直しといった改善策を実行します。
この「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」のPDCAサイクルを粘り強く回し続けることが、採用効果を最大化させるための最も確実な方法です。
運用型求人広告まとめ
運用型求人広告は、予算や採用状況に応じて広告配信を柔軟に調整し、データに基づいて効果を最適化できる採用手法です。
届けたい人材にピンポイントでアプローチできる一方、運用には専門知識や工数が必要になるという側面も持ち合わせています。
自社で運用するか、専門の代理店に委託するかをリソースに応じて判断し、明確なターゲット設定、魅力的な求人原稿の作成、継続的な分析と改善を行うことが成功の鍵となります。
これらの要素を理解し戦略的に活用することで、採用活動の効率化と質の向上が期待できます。
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