採用直結型インターンとは?実施条件や企業側のメリットを解説

採用直結型インターンとは、インターンシップを通じて得た学生の評価を、採用選考に活用するプログラムのことを指します。
2025年卒の採用活動から、一定の条件を満たすことで正式に認められるようになりました。
この記事では、採用直結型インターンの定義や25卒~の変更点といった基礎知識から、企業が導入するメリット・デメリット、実施するためにクリアすべき必須条件、そして成功させるためのポイントまでを網羅的に解説していきます。
採用活動の早期化と質の向上の両立を目指す採用担当者様にとって、少しでも有益な情報を提供できますと幸いです。

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採用直結型インターンシップって何?基本を解説

採用直結型インターンシップは、近年の採用市場の変化に対応する新たな手法として注目されています。
これまでのインターンシップとは異なり、採用選考活動の一環として明確に位置づけられているのが特徴です。
2025年卒の採用からルールが変更され、企業は特定の基準を満たしたプログラムを通じて、参加学生の情報を採用選考に利用できるようになりました。
この変更点を正しく理解し、どのような種類があるのかを把握することが、効果的な導入の第一歩となります。

そもそも採用直結型インターンシップとは?25卒からの変更点を解説

採用直結型インターンシップとは、企業が設定した特定の条件を満たすことで、インターンシップで得た学生の情報を採用選考に利用できる制度のことです。
従来、インターンシップで得た学生情報を採用選考に直接利用することは原則として禁止されていました。
しかし、2025年卒業・修了予定の学生からは、政府が定めた要件を満たす場合に限り、その活用が解禁されました。
この変更により、企業は就業体験を通じて学生の能力や適性を深く見極め、その評価を基に早期選考の案内や選考過程の一部免除といった対応が可能になります。
結果、学生にとっても自身の能力をアピールし、企業理解を深める機会が増えることになりました。

採用活動に直接つながるインターンシップは2種類

政府の定義によれば、採用活動に直接つなげることが認められているインターンシップは「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「高度専門型インターンシップ」の2種類です。
以下にそれぞれの特徴を一覧で示します。

①汎用的能力・専門活用型インターンシップ:
学部生や修士課程の学生を主な対象とし、期間が5日間以上である

②高度専門型インターンシップ:
専門性が高い博士課程の学生などが対象で、期間が2週間以上である

いずれもプログラムの半分以上を実際の職場での就業体験に充てることや、社員による指導とフィードバックが義務付けられています。
自社が求める人材像や専門性のレベルに応じて、どちらの形式で実施するかを検討する必要があります。

企業が採用直結型インターンシップを導入する3つのメリット

採用直結型インターンシップの導入は、企業にとって多くの利益をもたらします。
採用活動の早期化が進む現代において、採用直結型インターンシップは優秀な人材を確保するための有効な戦略となり得るでしょう。
代表的なものとしては、

・優秀な学生と早い段階で接点を持てる
・入社後のミスマッチを未然に防げる
・学生に自社の魅力を直接アピールできる

などがメリットとして挙げられます。
これらのメリットを最大化することで、採用の質と効率を同時に高めることが期待できるのです。
以下で具体的に解説していきます。

優秀な学生と早い段階で接点を持てる

採用活動の開始時期よりも前に、就職に対して高い意欲を持つ優秀な学生層へアプローチできる点は他にはないメリットです。
採用直結型インターンシップは政府が定める条件を満たす必要があるため、参加のハードルは決して低くありません。
それゆえ、プログラムに応募してくる学生はキャリア形成に真剣で、能動的に行動できる人材である可能性が高いと考えられます。
企業は複数日間にわたる就業体験を通じ、書類選考や短時間の面接だけでは評価しきれない学生のポテンシャルや人柄をじっくりと見極めることが可能になります。

入社後のミスマッチを未然に防げる

入社後のミスマッチは早期離職の主な原因であり、企業と学生双方にとって大きな損失です。
しかし、採用直結型インターンシップでは学生が実際の職場で長期間の就業体験を積めるため、企業文化や業務内容、人間関係といったリアルな働く環境を入社前、それ以前の採用前に、深く理解できるという強みがあります。
企業側としても、学生のスキルや価値観が自社に適合するかを多角的に判断する十分な時間が得られるのでミスマッチの心配がいりません。
このような相互理解の深化は、学生が抱く入社前のイメージと入社後の現実とのギャップを埋める効果を期待できます。
結果として、内定承諾後の辞退率低下や、入社後の定着率向上に大きく貢献します。

学生に自社の魅力を直接アピールできる

採用直結型インターンシップは、ただ学生を評価するだけの場ではなく、自社の魅力を効果的に伝える機会でもあります。
企業のウェブサイトや説明会だけでは伝えきれない現場の雰囲気・社員の人柄・仕事のやりがいなどを、就業体験を通じて学生に肌で感じてもらうことができます。
現場社員と直接交流し、フィードバックを受ける中で、学生は企業への親近感や信頼感を深めるでしょう。
特に知名度では大手企業に及ばない中小企業やBtoB企業にとって、仕事の面白さや社風の良さといった本質的な魅力を訴求し、学生の志望度を高めるための有効な手段となります。

採用直結型インターンシップ導入前に知っておくべき2つのデメリット

採用直結型インターンシップは多くのメリットがある一方で、導入にあたってはいくつかのデメリットや注意点を理解しておく必要があります。
特に気をつけたいのが次の2つです。

・プログラムの企画から運営まで多くの社内リソースが必要になる
・学生の企業に対する期待値が下がるリスクがある

これらの課題を事前に認識し、対策を講じることが、制度を成功させる上で不可欠です。
次で具体的な内容について1つずつ解説していきます。

プログラムの企画から運営まで多くの社内リソースが必要になる

質の高い採用直結型インターンシップを実施するには、相当な社内リソースを投入する必要があります。
まず、学生にとって魅力的に映り、かつ自社の事業内容を深く理解できるような就業体験プログラムを企画・設計しなければなりません。
さらに、運営段階では実際に学生を受け入れる現場部門の協力が不可欠です。
指導役となる社員の選定、業務の調整、そして学生一人ひとりへの丁寧なフィードバックなど、人事部門だけでなく全社的なコミットメントが求められます。
これらの準備や運営にかかる時間的、人的コストは大きく、特にリソースが限られる企業にとっては大きな負担となる可能性があります。

学生の企業に対する期待値が下がるリスクがある

学生は「採用に直結する」という言葉から、インターンシップに対して非常に高い期待を抱いて参加します。
しかし、プログラムの内容が期待外れであったり、受け入れ体制が不十分で社員の対応が雑だったりすると、企業に対する評価はインターンシップ参加前よりさらに大幅に低下します。
これは、単にその学生からの応募がなくなるだけでなく、口コミサイトやSNSを通じてネガティブな評判が拡散され、企業全体の採用ブランドを傷つけるリスクにつながりかねません。
「期待を裏切られた」と感じた学生の失望感は通常のインターンシップよりも大きくなる傾向があり、質の担保には細心の注意を払う必要があります。

採用直結型インターンシップを実施するための5つの必須条件

採用選考に学生情報を活用できるインターンシップ(タイプ3)を実施するためには、産学協議会が合意した「5つの要件」をすべて満たす必要があります。
これらは、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「三省合意」によって定められた基準です。

〈産学協議会が合意した5つの要件〉
条件1:開催期間は5日間以上であること(専門活用型インターンシップの場合は2週間以上)
条件2:インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること
条件3:必ず就業体験を行うこと(テレワークが常態化している場合は、テレワークも職場とみなされる)
条件4:現場で働く社員が指導役となり、終了後に学生へフィードバックを行うこと
条件5:学生の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に開催すること(大学の正課および博士課程を除く)

これらの条件は、インターンシップが学生の学業を妨げず、かつキャリア形成に資する質の高い体験となることを保証するために設けられています。
企業はこれらの基準を遵守し、適切なプログラムを設計・運営することが求められます。
上記の要件を満たしたインターンシップは、募集要項に「産学協議会基準準拠マーク」を記載することができます。
各条件について、以下で詳しく説明していきます。

条件1:開催期間は5日間以上であること

汎用的能力・専門活用型インターンシップの場合、プログラムの開催期間は最低でも5日間以上と定められています。
これは、1日や2日程度の短期間では、学生が企業の業務内容や文化を十分に理解し、実質的な就業体験を積むことが困難であると考えられているためです。
したがって、企業は学生が複数の業務を経験したり、1つのプロジェクトに継続して関わったりできるよう、5日間以上のプログラムを計画する必要があります。
この期間は連続している必要はなく、学生の学業に配慮して複数週にわたって実施することも可能です。
また、博士課程の学生などを対象とする高度専門型インターンシップの場合は2週間以上の期間が求められます。

条件2:プログラムの半分以上を就業体験にあてること

プログラム全体の総時間のうち、半分以上を実際の職場での就業体験に充てることが必須条件とされています。
したがって、会社説明会や業界研究セミナー、マナー研修といった座学の時間は、総時間の半分未満に抑えなければなりません。
就業体験には、社員に同行して実際の業務の一部を担当したり、職場内で与えられた課題に取り組んだりする活動が含まれます。
この規定は、インターンシップが名ばかりのものにならず、学生がリアルな仕事に触れる機会を確実に提供することを目的としています。
企業はプログラムを設計する際に、各コンテンツの時間配分を慎重に検討する必要があります。

条件3:実際の職場で就業体験を実施すること

就業体験は、「学生が配属される可能性のある」実際の業務が行われている現場で実施されなければなりません。
例えば営業職であれば営業部門、開発職であれば開発部門といった、具体的な職務が行われる場所での体験が求められます。
これにより、学生は職場の雰囲気や社員同士のコミュニケーションを直接感じ取ることができ、入社後の働き方を具体的にイメージできます。
テレワークが主体となっている職場の場合はオンライン環境下で社員と共に業務を行う形式も認められますが、その場合でも実際の業務プロセスに参加することが重要です。
研修施設など実際の職場から隔離された場所での活動は、原則として就業体験とは見なされませんのでご注意ください。

条件4:現場で働く社員が指導役となりフィードバックを行うこと

新しいインターンシップ制度においては、インターンシップを「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「タイプ4:高度専門型インターンシップ(試行)」の2種類に分類しており、これらのタイプでは、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後に学生にフィードバックを行うことが要件とされています。
メンターの配置が義務付けられているという明確な記載は見当たらないものの、インターンシップの質の向上には、現場社員が指導役(メンター)として学生の指導にあたることが重要であると考えられます。

指導役の社員は単に業務を教えるだけでなく、学生の仕事への取り組み方や成果物に対して、丁寧なフィードバックを行う役割を担います。このフィードバックはプログラム終了時にまとめて行うだけでなく、業務の節目ごとに適宜実施することが望ましいとされています。
学生にとっては、現場のプロフェッショナルから客観的な評価と助言を受けることで自身の強みや課題を認識し、職業人としての成長につなげることができます。

条件5:学生の長期休暇中に開催すること

学生の本分である学業への配慮から、採用直結型インターンシップの開催時期は原則として夏休み、冬休み、春休みといった学則で定められた長期休暇期間中に限定されています。
授業期間中に長期間のインターンシップを実施することは、学生の学業に支障をきたす可能性があるため、認められていません。
企業は、あらかじめ各大学の学年暦を確認し、学生が学業と両立しながら参加できるスケジュールを組む必要があります。
この規定を遵守することで、インターンシップが学業の妨げになるという懸念を払拭し、大学側との連携も円滑に進めることができるようになります。

採用直結型インターンシップを成功させるための重要なポイント

政府が定める必須条件をクリアすることは、採用直結型インターンシップを実施するための最低ラインです。
そこからさらに成果を上げ、優秀な人材の獲得という最終目標を達成するためには、戦略的な工夫が求められます。
具体的なポイントは下記のとおりです。

・全社的な協力体制を事前に構築しておく
・他社と差別化できる魅力的なプログラムを設計する
・インターンシップ後の選考プロセスをスムーズに案内する

これら3つのポイントが、採用直結型インターンシップ成功の鍵を握っています。
次から詳しく解説していきます。

全社的な協力体制を事前に構築しておく

採用直結型インターンシップの成否は、人事部門だけでなく、むしろ学生を受け入れる現場部門の協力度合いに大きく左右されます。
そのため、プログラムを開始する前に経営層からインターンシップの目的と重要性を全社に発信し、各部門の理解と協力を得ることが不可欠です。
具体的には、指導役となる社員の選定と業務負荷の軽減策、学生を受け入れるための物理的なスペースや備品の確保、そしてプログラム内容に関する現場からの意見聴取など、多岐にわたる調整が必要です。
こうした地道な根回しと事前準備を通じて、全社一丸となって学生を迎え入れる体制を整えることで、インターンシップの質は格段に向上します。

他社と差別化できる魅力的なプログラムを設計する

多くの企業が採用直結型インターンシップを実施するようになると、必然的に学生は複数のプログラムを比較検討します。
その中で自社を選んでもらうためには、ありきたりの内容ではなく、他社との差別化を意識した魅力的なプログラムを設計することが重要です。
自社の事業の強みや独自技術、ユニークな企業文化などを活かし、学生が「ここでしかできない経験だ」と感じられるようなコンテンツを盛り込みましょう。
例えば、経営幹部との座談会を設けたり、社会課題の解決につながるような実践的なプロジェクトに取り組んでもらったりするなど、学生の知的好奇心や成長意欲を刺激する工夫が求められます。

インターンシップ後の選考プロセスをスムーズに案内する

インターンシップを通じて企業への志望度が高まった学生の熱意を逃さないためには、その後の選考プロセスを迅速かつ明確に案内することが極めて重要です。
プログラム終了後、できるだけ早いタイミングで個別のフィードバック面談を実施し、その場で学生の評価を伝え、今後の選考ステップについて説明するようにしてください。
インターンシップ参加者専用の早期選考ルートや一次面接の免除といった特典を用意することも、学生の応募意欲を維持し、他社への流出を防ぐ上で効果的です。
インターンシップから採用までの一連の流れをシームレスに設計し、学生を丁寧にフォローする体制を整える必要があります。

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まとめ

採用直結型インターンシップは、2025年卒採用から本格的に解禁された新しい採用手法です。
優秀な学生と早期に接触し、相互理解を深めることで入社後のミスマッチを防ぐなど、企業にとって多くのメリットがある一方で、導入には全社的なリソース投入が不可欠であり、実施するためには期間やプログラム内容に関する5つの必須条件を満たさなければなりません。
これらの要件を遵守し、他社と差別化された魅力的なプログラムを設計・運営することが、採用成功の鍵となります。

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