
内定者から辞退の連絡を受けた際、人事・採用担当者はどのように返信すればよいか悩むものです。
不適切な対応をしてしまうと企業の評判を損なう可能性があるため、最後まで丁寧な返信が求められます。
この記事では、すぐに使える内定辞退メールへの返信例文をケース別に紹介するとともに、対応時に人事が心得るべきポイントや、今後の内定辞退を防ぐための採用戦略について詳しく解説していきます。
内定辞退者への対応にお悩みのみなさまとって、少しでも有益な情報をご提供できましたら幸いです。
目次
内定辞退メールへの返信はなぜ重要?企業の印象を左右する理由
内定辞退メールへの返信は、企業のブランドイメージを維持するために極めて重要です。
返信しないのは論外ですが、感情的になりすぎたり、あるいは事務的で冷たすぎる対応をとったりした場合、辞退者はその会社に対して少なからず悪印象を抱く可能性があります。
辞退者だって、将来的には自社の顧客や取引先になるかもしれない存在です。
また、最近ではSNSなどを通じて企業への対応に関する情報が拡散されることも珍しくないため、可能な限り誠実な返信を心がけるべきです。丁寧な対応は、たとえ入社に至らないとしても、企業への好印象を残し、将来的な関係構築の芽を残すことへつながります。
特に、現代の採用市場は候補者優位の状況であり、企業が一方的に選ぶ時代ではなくなりました。内定辞退者に対しても最後まで丁寧な対応をすることで、「あの会社は最後まで対応が良かった」というポジティブな評判が広がり、結果的に企業の採用力強化にもつながるでしょう。
内定辞退メールに返信する際、人事が押さえるべき3つの心構え
上記の点から、内定辞退の連絡に対して返事をするときは単なる事務的なお返事と捉えず、ビジネス上の重要なコミュニケーションとして対応することが求められます。
企業側として感情的になることは避け、応募者の決断を尊重する姿勢を示すことが基本です。
ここでは、採用担当者が返信する際に押さえるべき下記3つの心構えについて解説していきます。
・応募への感謝を伝え、相手の決断を尊重する姿勢を示す
・感情的にならず、丁寧で誠実な対応を心がける
・差し支えなければ辞退理由を尋ね、今後の採用活動に活かす
この心構えは、辞退者との良好な関係を維持するだけでなく、企業の社会的評価を守ることにも繋がります。
次から具体的に説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
応募への感謝を伝え、相手の決断を尊重する姿勢を示す
内定辞退の連絡を受けたときは、まず数ある企業の中から自社を選び、選考に参加してくれたことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。
内定に至るまでには、企業と同等かそれ以上に、応募者も多くの時間と労力を費やしています。
そのプロセスに敬意を払い、辞退という決断を尊重する姿勢を示しましょう。
辞退の連絡は、送る方もそれ相応の勇気を要します。メールを送付した応募者は、不安でいっぱいの状況です。
そんな中で連絡をくれたこと自体にも感謝を述べ、相手の新しい門出を応援する言葉を添えることで、企業として誠実な印象を与えられます。
感情的にならず、丁寧で誠実な対応を心がける
多くの時間とコストをかけた候補者からの内定辞退は、採用担当者にとって残念な出来事に他なりません。しかし、その感情を返信内容に反映させるのはもってのほかです。
まずは辞退の申し出を真摯に受け止め、「辞退を了承した」という事実を明確に伝えましょう。
威圧的な態度を取ったり、辞退理由を詰問したりするような行為は、企業のイメージを著しく損なうため控えてください。
あくまでビジネスライクに、丁寧で誠実な言葉遣いを徹底することが肝心です。
応募者は企業の対応を細かく見て覚えており、ここで対応者が見せた誠実な姿勢が、将来的な企業の評判にも影響を与えます。
差し支えなければ辞退理由を尋ね、今後の採用活動に活かす
内定辞退は非常に残念なことですが、応募者がその考えに至った理由は、今後の採用活動を改善するための貴重な情報源となります。
応募者の決断を尊重した上で「もし差し支えなければ」と前置きし、辞退理由を尋ねてみましょう。
回答を強制するような印象を与えないよう、あくまで低姿勢で質問することを意識してください。
辞退の背景には、処遇や労働条件、企業文化、選考プロセスにおける課題など、自社が改善すべき点が見つかる可能性があります。
得られたフィードバックを真摯に受け止め、分析することで、先々のより魅力的な採用活動の実現に繋げられます。
【コピペOK/ケース別】すぐに使える内定辞退メールへの返信例文
内定辞退の連絡を受けた際に、どのように返信すればよいか迷う採用担当者も多いはずです。
ここでは、状況に応じてすぐに活用できる返信メールの例文をケース別に紹介します。
基本となる辞退承諾メールのテンプレと、どうしても入社してほしい候補者への引き留めを打診するメールの2パターンについて、具体的な文面と作成時のポイントのまとめをご用意しました。
これらの例文を雛形として、応募者との関係性や自社の状況に合わせて内容を調整し、丁寧なコミュニケーションを心がけてください。
【例文】内定辞退を承諾する場合の返信メール
○○様
お世話になっております。
株式会社×× 採用担当の□□です。
このたびは当社の選考にご応募いただき、誠にありがとうございます。
○○様からいただいたご決断を尊重し、内定を辞退される件、承諾いたしました。
選考では○○様の素晴らしいお人柄に触れることができ、ぜひご一緒にお仕事がしたいと考えておりましたので、
今回の結果は残念ではありますが、熟慮の末のご決断かと思います。
そのご意思を率直にお知らせいただきましたことに、重ねて感謝申し上げます。
今後の採用活動の参考とさせていただきたく、差し支えなければ、
辞退の理由について簡単にお聞かせいただけますと幸いです。
末筆ながら、○○様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
何かのご縁で、またお会いできることを楽しみにしております。
〈署名〉
承諾メールで好印象を残すための作成ポイント
内定辞退を承諾するメールでは、まず件名に「Re:」をつけたままにし、誰からのどんな用件かが一目でわかるようにします。
本文の構成は、
①応募への感謝
②辞退の承諾
③残念な気持ち
④相手の将来を応援する言葉
という4つの要素を盛り込むのが基本です。
上記に加えて、前章で挙げたように辞退理由を尋ねる文章を入れるのも良いでしょう。
さらに、「面接での△△のお話が印象的でした」といった、その応募者個人に宛てた一文を加えると、テンプレート的な対応ではないことが伝わり、より良い印象を与えられます。
返信は可能な限り迅速に行い、相手を待たせない配慮も重要です。
長文になりすぎず、簡潔で丁寧な文章を心がけてください。
【例文】内定辞退者を引き留めたい場合の返信メール
○○様
お世話になっております。
株式会社×× 採用担当の□□です。
熟考の末に辞退をご決断されたとのことで、大変残念に存じますが、
真摯にご検討いただいたことに感謝申し上げます。
もし差し支えなければ、今回の決断に至った理由をお聞かせ願えないでしょうか。
もし、条件面や業務内容などで何か懸念点があるのであれば、改めてお話し合いの機会を設けることも可能です。
面談を担当した△△も、ぜひもう一度お話したいと申しております。
○○様のご意思を尊重しつつも、当社としてはぜひご一緒に働けるご縁を大切にしたく、
お忙しいところ恐縮ですが、再度ご検討いただけますと幸いです。
引き続きご連絡をお待ちしております。
〈署名〉
引き留めメールで応募者の気持ちを動かす作成ポイント
内定辞退者を引き留めるためには、まず相手の決断を一度受け止め、その上で対話の機会を提案する姿勢が重要です。
メールでは辞退理由を丁寧にヒアリングしたいという意図を伝え、もし条件面などで懸念がある場合は、交渉の余地があることを示唆します。
「○○様のご経験は、弊社の△△という事業で必ず活かせると確信しております」といったように、相手への期待を具体的に伝えることで、再考を促す効果も期待できます。
ただし、送付の際には相手にプレッシャーを与えすぎないよう、どこまで踏み込むかのラインを慎重に見極める必要があります。
内定辞退の引き留めメールはとても繊細で、強引すぎると逆効果になります。相手の決断を尊重しつつ「もし迷いがあるなら再度検討いただけませんか」というニュアンスを含めるのがポイントです。
今後のために!内定辞退を未然に防ぐ3つの採用戦略
内定辞退が発生した際の事後対応は大切ですが、より本質的な対策は、辞退そのものを減らす取り組みです。
内定承諾率を高めるには、採用活動全体を見直し、候補者の入社意欲を維持・向上させる仕組みを構築することが不可欠です。
それらを実現するために、選考過程での魅力的な情報提供や、内定後のきめ細やかなフォローが必要となります。
ここでは、内定辞退を未然に防ぐために効果的な下記3つの採用戦略について解説していきます。
・選考過程で自社の魅力を効果的にアピールする
・会社の良い面だけでなく、課題も正直に開示する
・内定から入社までの期間、手厚いフォローで不安を解消する
1つずつ具体的に説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
選考過程で自社の魅力を効果的にアピールする
候補者の入社意欲を高めるためには、選考の各段階で自社の魅力を多角的に伝える工夫が重要です。
給与や福利厚生といった条件面だけでなく、企業のビジョンや事業の将来性、独自の社風、社員の働きがいなどを具体的に伝えましょう。
特に、現場で活躍する社員との面談や座談会の機会を設けておくことは、候補者が働くイメージをより具体化させ、入社意欲を高める上で非常に有効であるといえます。
候補者一人ひとりのキャリア志向に合わせて、自社のどの部分が魅力的に映るかを考え、パーソナライズされたアピールを心がけることが他社との差別化につながります。
そのために、競合他社の強みや弱みを把握したうえで、自社ならではといえる強みを見つけ出す「競合分析」を行いましょう。
自社の魅力を最大限に引き出すため、社員アンケートや関係者からのヒアリングを通じて会社の目標・仕事の楽しさ・職場の雰囲気・待遇やサポート制度など、多角的な視点から情報を収集することもおすすめです。
▼内定辞退者を出さないためのメールの作成方法はこちら
会社の良い面だけでなく、課題も正直に開示する
内定辞退や早期離職を防ぎ、入社後のミスマッチを解消するためには、選考段階で企業の良い面だけでなく、現在抱える課題や仕事の厳しさも正直に開示しておく必要があります。
例えば、求人情報が薄い、または面接で十分に説明しないといった情報提供の不足は、候補者が企業とのマッチ度を判断しにくくし、結果的にミスマッチを引き起こす要因になります。
「このポジションは裁量が大きい分、成果に対する責任も重い」
「現在、組織として〇〇という課題に取り組んでいる段階です」
こういったリアルな情報をあらかじめ伝えることで、候補者は入社後の働き方をより具体的にイメージできるようになるでしょう。
このような誠実な姿勢は候補者からの信頼獲得につながり、企業イメージの向上にも寄与します。
また、企業文化や働く環境の透明性を高めることは内定辞退や早期離職のリスクを低減させる効果が期待できます。
正直な情報開示は応募者の質を高め、企業に合った人材が応募しやすくなるというメリットもあります。入社後のリアリティショックを防ぐためにも、選考段階から適切な情報開示を心がけ、入社後のギャップ要因を取り除くことが重要です。
内定から入社までの期間、手厚いフォローで不安を解消する
内定通知を出してから入社日までの空白期間は、内定者が入社への期待と不安を抱きやすい時期であるのと同時に、まだまだ他社からアプローチを受ける可能性が高い時期でもあります。
この期間にコミュニケーションを絶やさず、手厚いフォローを行うことが内定辞退の防止に直結します。
具体的には
・定期的なメールでの近況報告(月1回程度)
・内定者懇親会や現場社員とのランチ会の開催
・社内報の送付
などが有効な施策になるでしょう。
事務的な連絡だけでなく、歓迎の意を伝えることで内定者の帰属意識を高め、入社へのモチベーションを維持してもらうことが重要です。
あまり密になってお互いに負担を感じてしまっては逆効果ですので、塩梅をみて調整してみてください。
より詳しく内定者フォローの方法をて知りたい方はこちら
まとめ
本記事では、内定辞退の連絡が来た際の返信方法について詳しく解説しました。
内定辞退メールへの返信は、企業の印象を左右する重要な要素であり、候補者の決断を尊重し、誠実な対応を心がけることが大切です。
応募への感謝を伝え、感情的にならず丁寧な対応をすることで、企業イメージの向上にもつながります。さらに、差し支えなければ辞退理由を尋ねることで、今後の採用活動に活かせる貴重な情報を得られます。
また、内定辞退を未然に防ぐための採用戦略として、選考過程での自社の魅力効果的なアピールや、会社の良い面だけでなく課題も正直に開示すること、そして内定から入社までの期間に手厚いフォローを行うことは非常に有効です。これらの対策を講じることで、入社後のミスマッチを防ぎ、内定承諾率を高めることが期待できます。
本記事で紹介した例文やポイントを参考に、内定辞退への適切な対応と、辞退防止に向けた採用戦略を実践し、貴社の採用活動を成功に導いてください。
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